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鼻づまり系blog

#03 然るべき時の話

10個下(学年でいえば11個下だけど誕生日がお互い1年近く違う)の弟がいる。

弟とは父親が違う。いわゆる種違いの兄弟である。

 

この事実をいままで弟に知らせることなく、弟は小学校〜中学校〜高校、浪人を経ていまや大学生にまで成長した。そして今年の1月に成人式を迎えた。

「兄とは父親が違う」ということがどれだけインパクトがあるのかはわからないけど、家族の中ではその事実は「然るべき時」まで話さないようにしようということになっていた。

ただ、その「然るべき時」がいつなのか、その定義は曖昧のまま20年過ぎていった。これまでの生活の中で、その「然るべき時」は幾度となくあった気がする。弟が義務教育が終わったタイミング、兄(自分)が就職して実家から出ていったタイミング、弟が大学が決まったタイミング、二十歳になったタイミング。

 

そして、突然にその「然るべき時」が今週やってきた。

なぜこのタイミングだったのかはわからない。

これは推測だけど、先週、関東地方に大雪が降った日の翌々日、父親(俺からすると継父にあたる)が定年退職してから趣味で始めたトラック運転手のアルバイトの最中にアイスバーンで滑ってトラックが横転するという事故を起こした。幸い、父親は無傷で済んだのだが(当然アルバイトは契約解除された)、そのときに何かを感じたのかもしれない。あくまでも推測だけど。

 

その「然るべき時」には同席していなかったので、彼(弟)がどういう表情で、どういう気持ちで聞いていたかはわからない。

母親から伝え聞いたのは、彼は「(薄々)気付いていた」ようで、兄と父親が敬語で話していたりとか、親戚の誰かがぽろっと何かそれらしきことを話してしまったようである。子どもは意外とそういうところは敏感である。

 

弟がその事実を聞いてどういう気持ちになったのかわからない。

兄である自分としては、正直「父親が誰かなんてどうでもいいし、俺は俺である」という変なアイデンティティを確立しているので、なんとも思わない。

ただ、兄よりも優しく繊細で、何事に対しても真正面から受け取ってしまう弟が心配なのだ。半分家族で、半分他人という事実をどう受け取るのか。

できれば、「そんなことたいしたことない」と思ってくれてるならいいし、これからも普通の仲良い友達のような感覚で付き合ってくれたらいい。たまに安い居酒屋で飲みながらお互いの近況とかを話せればそれでいい。

 

でももし、弟が何かしら心境の変化があったら、兄としてどうすればよいか。これから2人の関係がギクシャクするようになるのが最も怖いことである。

 

社会人になると、男の兄弟なんて無理やり会おうとしないとなかなか2人で会うことなんてないし、疎遠になるのは簡単だ。だけど、そうはしたくない。

弟は必ず幸せにならないといけない。そのために兄として120%サポートしなければならないと決めている。だからこそ、今回の「然るべき時」が2人にとってより良い方に向かうターニングポイントであったと心から願う。

 

ちょうどこの話をつい最近になって話をしていたところだったから、これも何か縁なのだと不思議な感覚になっている。

 

そんな話。